SKEATS™ フィールドレポート(Alpine Logic 川田岳論)

川田岳論

Alpine Logic 代表
Vector Glide サポートメンバー
Anglo & Company アンバサダー
山と道 アンバサダー 等

- プロフィール -
1979年北海道音更町生まれ、青年期を DJ として New York の Brooklyn で過ごし、現在北海道帯広市在住。祖父がつけた名前により、自ずと山へ導かれる。メインの活動フィールドは北海道の日高山脈全域、大雪山連峰全域の山と川。MTB(疲れるので最近はもっぱら eBike)、パックラフト 、サバイバル野営等に精通している。プロアングラーで川は得意だがスキーはかなり下手。「欲しいモノが売っていない」と言って、ある日突然 Alpine Logic を始める。

- SKEATS™ 馴れ初め -
SKEATS™ との出会いは、かなりマニアックなスキー情報が交換される facebook の「闇スキー部」と言うクローズドグループで話題にのぼったことが切っ掛けでした。円安だし、送料も高いから共同購入しようとなり、それなりの数量を発注すると、Mountain Cleats Inc. のレオナルド君から直ぐに返信があり「なんでそんなに買うんだ?」と。「いっぱい買うから、安くしてくれ」「オーケー、ブラザー、通常の卸値でどうだ?」「なんだったら日本代理店やっても良いぞ、ブラザー」とトントン拍子で話が進み、Alpine Logic が誕生することにもなりました。

- SKEATS™ フィールドレポート -
兼ねてから、既存のスキークランポン(アイゼン、またはクトー)の実用性に疑問を抱いていた(というか、急登で使えないので、持っていたが使ってなかった)私は、SKEATS™ を目にした瞬間にコロンブスの卵的なそのシンプル且つエポックメインキングで理に適った構造を気に入りました。以下、従来のスキークランポンとの比較をご参照下さい。

SKEATS™  従来のスキークランポン
脱着 簡単、ストラップで巻き付ける 少し難しい、ビンディングに取り付ける
収納 小さい 大きく嵩張る
ハイクアップ 常時爪が出ており、非常に有効 ヒールサポートを使うと刺さらない、肝心な時に使えない
他の板への流用 板幅がクリートの幅より太ければ可能 板幅がクランポンの幅より細ければ可能、ただしビンディングが違うと取り付けられない
太い板への取り付け ストラップを巻き付けれる限り可能 ビンディングによっては 125〜130mm まで
素材 ステンレス 、変形しづらい アルミ、またはチタン、変形する可能性がある

最近は、板に回転ディスクを取り付けて、常時板に固定するタイプのクランポンもありますが、試したところ、爪が長すぎて引っ掛かり、歩きづらいと感じました。また、ディスクを取り付ける際は板に追加の穴あけ加工が必要なこと、過酷な環境下で確実に雪や氷を落として取り付けるのは難しいという懸念もありました。

SKEATS™ は正直、非の打ちどころがありません。強いてあげるとすれば、ストラップをシッカリとキツく締めないと、外れる可能性があるぐらいでしょうか。歩く際も雪面のコンディションにはよりますが、引っ掛かりは感じません。

この写真は大雪山連邦 - カムイミンタラ、通称「お鉢」周辺で撮影されたものになりますが、この斜面の斜度は丁度 30° あります。写真のようにSKEATS™ Claws とシールの摩擦で 30° の斜面でも片足で体勢を維持することが可能です。これを可能とするのは、SKEATS™ Claws はこれまでのスキークランポンと違い、板を横断する爪があるからです。

とりわけ、ハイクアップ時に外側のエッジがストレートになり、スキーと比べてかなり登りづらいスプリットボードや、底屈力(踏む力)が男性に比べて半分といわれている女性へもオススメです。一言で言えば、全バックカントリースキーヤー / スプリットボーダー必須アイテムです。

SKEATS™ を装着すれば、これまでは板をシートラ(シー・トラバース、バックパックに板を固定して担ぎ上げて登ること)して、ブーツアイゼンを付けないと登ることが出来なかった急勾配の核心部もそのまま登れてしまいます。悪天候や低温下での作業は大変ですし、それなりの時間も要します。

私の場合はハイクアップの開始時から装着し、より少ない歩数と距離でハイクアップラインを直登よりにして、ジグの回数を極力少なくし、ハイクアップにかかる時間を短縮させる使い方をしています。 歩き始めて直ぐに実感できるのはその「安定感・安心感」の違いです。スリップを恐れることなく、より安定した体制で次の一歩を踏み出せることがこうも違うとは驚きです。また、ガリゴリに凍った斜面のトラバースでも威力を発揮します。エッジだけの保持力で爆風が吹き荒れる中、今にも板がスライドして真っ逆さまに落ちてしまいそうな状態で恐る恐る歩くのではなく、一歩一歩着実に前へ進めることができます。

2022-2023 の今シーズンから日本に上陸しました、SKEATS™ を是非試してみて下さい。(政治家の挨拶みたいになってしまいました...)

今まで、「ハイクアップがダルいなぁ〜」とか、「ヤベェ!あの外人パーティー、登るの超絶早過ぎるぞ!」とか、「年齢のせいか、体力落ちたな…」とか、急登でアズアズして(*「あずる」の繰り返し、北海道弁で「スリップする」の意味)しまったりする私を含めたこの記事を読まれているアナタ、SKEATS™ で今年の冬からハイクアップが少しだけ楽しく安全になること間違いありません!

ブログに戻る